2010年6月9日水曜日

『千の風になって』という歌が私たちに届くまでの話・第19話

●マリーの詩がイギリスで最も愛される詩に
 クミンスが亡くなってから6年後の1995年に,イギリスで最も愛される詩を決める「英詩の日」というテレビのイベントが行われました。候補となった100の詩の中から一番好きな詩を選んで視聴者に投票してもらい,投票数が一番多いものを,「イギリスで最も愛される詩」と認定する
という取り組みでした。1万2千件の応募がありました。
しかし発表の当日,誰も予想しなかったことが起こりました。発表前のイベントとして,クミンスの父が,息子が残した遺書に書かれていたマリーの詩を朗読しました。そうしたら,それを見ていた視聴者から,マリーの詩のコピーが欲しいというリクエストが殺到しました。その数は,3万件に達したそうです。
 翌年,コンペの結果を集約した本が出版されました。その中で編者は,「クミンスが残した作者不明のこの詩こそ,今のイギリスで最も愛されるものである」と述べました。

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