2010年6月5日土曜日

『千の風になって』という歌が私たちに届くまでの話・第15話

●消えてしまった前置詞「in」
2つの文が消えてしまった以上に,大きな変化をもたらしたのが,前置詞「in」が消えたことです。マリーの原詩には,I am の後にほとんどの場合,inが続きます。4つの文だけ,inがありませんが,これはinがあまりに続きすぎると,音読した時にきつくなるために,省略されたのであって,基本的にはすべての文にinがあると考えていいと思います。ということは,このamは,「~にいる」という意味で使われています。「~である」という意味でもなく,新井さんの訳のように「~になって」という意味でもありません。「そんなことどうでもいいではないか」と思われるかもしれませんが,実はこの違いはとても大きいのです。この違いについても,第3部でお話ししたいと思います。

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実は,この他にも書き変えられた2個所があります。1つは,「私は静かに舞い落ちる雪のなかに
います」が「私は雪の面のダイヤモンドのきらめき」に変わりました。もう1つの変更は,原詩に
はなかった「あなたが朝の静けさの中で目覚めるとき」の個所が付け加えられました。
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