2009年10月28日水曜日

エジプト神話が教えてくれること

エジプト神話が教えてくれること
 神話が作られた意図がこれほどはっきりしているものはないような気がします。この神話は,「エジプト暦」と言われるものとつながっています。
 「エジプト暦」は,1月を30日としています。しかし,そうすると,30日×12月=360日にしかなりません。つまり5日間が不足するわけです。 暦を管理する人たちにとって,「5日間」を挿入する正当性が必要になってきます。「いいかげんに挿入した」と言われるのことは致命的です。
 だから,彼らは「神話」を必要としたのでしょう。
 このシリーズ,これで終わりです。最後は私らしくエピクロスの言葉で締めくくりたいと思います。
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「神話に関することが何か気にかかっていて,宇宙の真実がなんであるかを知らないならば,最も重要なことについての恐怖を解消することができない。それゆえ,自然科学の研究なしにわれわれは,本当の〈たのしさ〉を得ることはできない」(主要教説)
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エピクロスは,やはりすごいと思われませんか。今から2300年以上も前の言葉です。  板倉先生の言葉とも言えるような気がしませんか。

エジプト神話(その4)

エジプト神話(その4)

 怒った太陽神「ラー」は,生まれた5人の子どもたちに,自分の光・太陽を与えることを拒否しました。 5人の子どもたちは,「存在しない日」に生まれなければならなくなりました。 母ネートの悲しみがしのばれます。
 しかし,ヌートを愛していた時の神「トウト」が,なんと5日間をヌートに与えました。 5日間をもらったヌートは,その5日間に順番に5人の子どもを生みました。
 その5人の子どもが,
オシリス・ハロエリス・セット・イシス・ネプティス
というわけです。
 後に,オシリスとイシスが結婚し,それを恨んだセットがオシリスを2回にわたって殺したという話につながっていくわけです。切り刻まれたオシリスの復活が,「ミイラ」の話につながっていくことになります。
 では,太陽神「ラー」のその後の人生は,どうなったのでしょう。愛する相手を奪われた「ラー」の精液は,空しく空中の飛び出します。しかし,それは地面におちてある石に変化します。 その石が「ベンベン石」と言わるもので,実は,ピラミッドの原型と言われるものなのです。 そして,この「ベンベン石」にうつるシリウスの光が,古代エジプトに「太陽暦」をもたらすことになるのです。

2009年10月27日火曜日

エジプト神話

みなさんへ〈古代エジプト〉に留学中の吉田です
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エジプト(神話その1)
 エジプト神話を知っていますか。オリシスとイシスの,兄と妹が結婚したという話をどこかで聞かれたことはありませんか。このオリシスというのは,〈太陽暦の発明〉に深く関係した一番明るい恒星「シリウス」のことだそうです。
 しかし,エジプト神話をオリシスとイシスから話し始めると,「たのしくない話」「わけのわからない話」になるような気がします。
 ということで,「知ってたのしいと思えるエジプト神話」の話ができればと願っています。 お付き合いいただけると,うれしいです。*************************************************
まったくの「素人神話学」です。間違っている点があればぜひ教えてください。


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エジプト神話(その2)
 この世の始めに存在したのは,不動の神「ヌン」と天空の女神「ヌート」と時の神「トウト」です。
「ヌン」の意志で,地の神「ゲブ」と太陽神「ラー」とが誕生します。「ゲブ」は「ラー」の兄になります。
 太陽神「ラー」は,天空の女神「ヌート」と結婚します。しかし,「ヌート」は「ラー」の兄,「ゲブ」と浮気をしてしまいます。
 そのことを知った,「ラー」はどういう行動に出たでしょうか。

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     系図その1
 不動の神      天空の女神      時の神 
  ヌン         ヌート          トウト 
  ↓ 
  ↓  
  ↓ 
 長男「ゲブ」 (地の神) 
  ↓ 
 次男「ラー」 (太陽神)


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     系図その2
 太陽神「ラー」…天空の女神「ヌート」…地の神「ゲブ」       
     〈夫婦関係〉       〈愛人関係〉 

ラー(弟)とゲブ(兄)は兄弟関係


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エジプト神話(その3)
 太陽神「ラー」と妻「ヌート」の間には子どもが生まれませんでした。
 しかし,「ヌート」は,「ラー」の兄「ゲブ」(地の神)の間に,5人の子どもを身ごもります。今風に言うと「不倫の子」です。ましてや妻の浮気の相手が実の兄なのですから,「ラー」の気持ちがしのばれます。

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