2009年7月19日日曜日

「皆既日食見学旅行(その4)」

タレスは,日食の原因を知りませんでした。

では,なぜタレスは日食を予想できたのでしょうか。

実は,彼はある人たちが長年にわたって集めたデータを利用したのです。

それは,タレスの近くの国バビロニアの神官といわれる人たちが
集めたデータでした。神官たちは,太陽の動きを克明に記録していました。
その記録は,前721年以来続いていたそうです。
だから,そのデータに基づけば,次の日食はいつ頃起るだろうという予測は
可能になっていたのです。
しかし,神官たちは,その情報を民衆に公開することはありませんでした。
その情報は,王のためのものだったのです。
だから,なんかのルートでその情報を知って,
しかも民衆に公開したタレスは
偉大だと言えるのではないでしょうか。

しかし,そのタレスも,いつ頃に日食が起こるということは
予測できても,それがどこでおこるかということまでは,知らなかったのです。
それは,バビロニアの神官たちも知らなかったことなのです。

だから,その日食がタレスの住んでいるところの近くで起こり,
しかも,戦争の真っ最中に起こるという劇的なことになったのは,
まったくの幸運だったのです。

しかし,天体は神ではなく,人間にとって,理解可能なものであるという
ことを証明したタレスの業績は,
それ以後,多くの弟子たちに
「科学研究への勇気」を与えることになりました。

そして,タレスの弟子の弟子,アナクサゴラスによって,
日食の原因も,月食の原因も解明されることになりました。

そんなタレスやアナクサゴラスのことを想像しながら,
皆既日食をたのしんできたいと思います。

中国から可能なかぎり,
このブログで,旅行の様子をお伝えしたいと思います。
読んでいただけるとうれしいです。

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