今朝の朝日新聞でこんな内容の記事を見つけました。
内田さんは,神戸女学院大学教授で,村上春樹さんの解説者としてしばしばマスコミに登場する人ですが,若い頃にはこんな苦労があったのですね。
2010.5.29付け 朝日新聞「be on Saturday」より
【インタビュー】
*教務部長をやり,現在,入試部長という激職ですね。
(内田)
ここには拾ってもらったという恩義がある。東大を出た後,都立大の助手を長く務めていたが,まあ飼い殺しの状態。どこか職がないかと,北は北海道から南は沖縄の琉球まで,三十数校も応募したが,8年間落ち続けた。フランス思想,ユダヤ文化専攻なんて学者を採る大学はない。40歳になっても駄目だったら学者の道はあきらめようと思っていたが,直前に,ここに採用してもらった。
周囲の学者世界は,もううんざりだった。索莫として水気のない世界。うわさや情報が飛び交い,悪口大好きで,切れ味鋭く他人を切って捨てる。バブル期の東京の雰囲気も好きでなく,神戸に来たからといって,あせりや都落ちなんで感覚はまったくなかった。
2010年5月29日土曜日
2010年5月21日金曜日
『千の風になって』という歌が私たちに届くまでの話・第12話
●映画館での出会い…幸せな結婚生活…
新しい職場でマリーは,一人の男性と出会います。クラウド・フライという人です。彼もまた,貧しい家庭の人でした。しかも,数年前に流行したインフルエンザのために,妹や弟たちを失っていました。故郷バージニア州の貧しい家族を助けるために,小学校3年で学校をやめて,ボルチモアに働きに来ていました。ある大きな製鉄所で働いていました。彼もまた,ボルチモアで一人ぼっちだったのです。
マリーが好きになったクラウドは,同じ映画を何回も見に来るようになりました。それで,不思議に思ったマリーが話しかけたことから,二人の交際が始まりました。似たような境遇の二人は,すぐに打ちとけ合い,結婚を考えるようになりました。そして,1930年8月マリー24歳,クラウド26歳の時に,クラウドの故郷バージニアで,結婚式をあげました。クラウドの親戚に囲まれただけのささやかな結婚式でした。〈イーノック・プラット自由図書館〉の司書さんを招待するというマリーの夢は,実現しませんでした。
決して豊かとは言えない暮らしでしたが,それでも二人は,仲良く幸せにくらしていました。そんな幸せな暮らしの中で,ある日クラウドが,一軒の家の玄関の前の階段にたたずむ悲しそうなマーガレットに出会って,声をかけたという訳です。そしてそのことが,世界中の人から愛されるようになった詩『ザ・ポエムofマリー・E・フライ』の誕生へとつながっていくことになります。
詩が誕生したのは,結婚から2年後の1932年,マリー26歳の時でした。
(第Ⅰ部終わり)
新しい職場でマリーは,一人の男性と出会います。クラウド・フライという人です。彼もまた,貧しい家庭の人でした。しかも,数年前に流行したインフルエンザのために,妹や弟たちを失っていました。故郷バージニア州の貧しい家族を助けるために,小学校3年で学校をやめて,ボルチモアに働きに来ていました。ある大きな製鉄所で働いていました。彼もまた,ボルチモアで一人ぼっちだったのです。
マリーが好きになったクラウドは,同じ映画を何回も見に来るようになりました。それで,不思議に思ったマリーが話しかけたことから,二人の交際が始まりました。似たような境遇の二人は,すぐに打ちとけ合い,結婚を考えるようになりました。そして,1930年8月マリー24歳,クラウド26歳の時に,クラウドの故郷バージニアで,結婚式をあげました。クラウドの親戚に囲まれただけのささやかな結婚式でした。〈イーノック・プラット自由図書館〉の司書さんを招待するというマリーの夢は,実現しませんでした。
決して豊かとは言えない暮らしでしたが,それでも二人は,仲良く幸せにくらしていました。そんな幸せな暮らしの中で,ある日クラウドが,一軒の家の玄関の前の階段にたたずむ悲しそうなマーガレットに出会って,声をかけたという訳です。そしてそのことが,世界中の人から愛されるようになった詩『ザ・ポエムofマリー・E・フライ』の誕生へとつながっていくことになります。
詩が誕生したのは,結婚から2年後の1932年,マリー26歳の時でした。
(第Ⅰ部終わり)
『千の風になって』という歌が私たちに届くまでの話・第11話
●「黒い木曜日」とよばれる世界中をおそった大不況
そういう生活が10年以上も続いた1929年10月24日,マリーが23歳の時,突然ニューヨークの株が大暴落しました。その影響は,世界中に飛び火し,世界中の街々が失業者であふれました。ボルチモアでは,自死(自裁)を選ぶ人も多かったそうです。
人々は苦しい現実の中で,夢と安らぎを求めて,映画館に殺到しました。不況の中,映画館は繁盛しました。マリーは,ヒッポロドーム劇場という,時にはコンサートや演劇も上演するような大きな映画館の窓口の仕事を得ることができました。それまでつとめていたデパートが不況で経営が苦しくなりました。そこでマリーも新しい仕事を探さなければなかったかもしれません。
しかし,コンサートや演劇が上演されることもあるこの劇場は,マリーにとっては憧れの職場でした。愛読書『ロミオとジュリエット』の上演を見たかもしれません。
そういう生活が10年以上も続いた1929年10月24日,マリーが23歳の時,突然ニューヨークの株が大暴落しました。その影響は,世界中に飛び火し,世界中の街々が失業者であふれました。ボルチモアでは,自死(自裁)を選ぶ人も多かったそうです。
人々は苦しい現実の中で,夢と安らぎを求めて,映画館に殺到しました。不況の中,映画館は繁盛しました。マリーは,ヒッポロドーム劇場という,時にはコンサートや演劇も上演するような大きな映画館の窓口の仕事を得ることができました。それまでつとめていたデパートが不況で経営が苦しくなりました。そこでマリーも新しい仕事を探さなければなかったかもしれません。
しかし,コンサートや演劇が上演されることもあるこの劇場は,マリーにとっては憧れの職場でした。愛読書『ロミオとジュリエット』の上演を見たかもしれません。
2010年5月11日火曜日
『千の風になって』という歌が私たちに届くまでの話・第10話
●困難を極めた就職活動
昼間仕事を探しながら,夜はその図書館で読書をするという日々が続きました。しかし就職活動は困難を極めました。12歳の少女を雇ってくれる所などなかったからです。
マリーは重大な決意をします。「一生に一度の嘘をつこう。14歳と偽ろう」
あるデパートがレジ係を募集していたのですが,14歳以上という条件があったからです。マリーは14歳と偽って,採用試験を受けました。普段の勉強の成果が発揮されました。採用試験を優秀な成績で合格し,年齢を偽ったこともばれることなく,ついに仕事をつくことができたのです。
しかし,貧しい暮らしは続きました。お金にゆとりのないマリーは,夜と休みの日は,〈イーノック・プラット自由図書館〉に通いつめました。
16歳当時の愛読書は,『ロミオとジュリエット』(シェークスピア著)や『嵐が丘』(エミリ・ブロンテ著)でした。
昼間仕事を探しながら,夜はその図書館で読書をするという日々が続きました。しかし就職活動は困難を極めました。12歳の少女を雇ってくれる所などなかったからです。
マリーは重大な決意をします。「一生に一度の嘘をつこう。14歳と偽ろう」
あるデパートがレジ係を募集していたのですが,14歳以上という条件があったからです。マリーは14歳と偽って,採用試験を受けました。普段の勉強の成果が発揮されました。採用試験を優秀な成績で合格し,年齢を偽ったこともばれることなく,ついに仕事をつくことができたのです。
しかし,貧しい暮らしは続きました。お金にゆとりのないマリーは,夜と休みの日は,〈イーノック・プラット自由図書館〉に通いつめました。
16歳当時の愛読書は,『ロミオとジュリエット』(シェークスピア著)や『嵐が丘』(エミリ・ブロンテ著)でした。
『千の風になって』という歌が私たちに届くまでの話・第9話
●〈イーノック・プラット自由図書館〉
この図書館は,イーノック・プラットという人の寄付によってできた図書館です。イーノックさんも貧しい中努力を重ねて,新しい事業に成功した人でした。彼は成功をもたらしてくれたボルチモアへの感謝の気持ちを込めて,この図書館設立の資金を寄付しました。彼は図書館を作るにあたって,次のことを大事にしてほしいと訴えました。
「この図書館はすべての人に開かれている,貧し人にも,豊かな人にも。人種も肌の色も問われない」
この言葉は,この図書館の一番大事な決まりとなりました。この言葉に基づいて運営されているこの図書館は,貧しくて身よりのないマリーに,どれだけの幸せな時間を提供してくれたことでしょう。しかも,
この図書館には親切な司書さんもいました。毎日夜になると図書館にやってくる12歳の孤児に,読書の相談にのってくれる人がいたのです。実現しなかったとはいえ,マリーは自分の結婚式に,「イーノック・プラット図書館のその司書さん」を招待したかったのですから。
そんな司書さんがいたこの図書館は,マリーにとって,唯一の心休まる場所となりました。マリーは,その司書さんのアドバイスを受けながら,この図書館にある本をほとんど読みました。
この図書館は,イーノック・プラットという人の寄付によってできた図書館です。イーノックさんも貧しい中努力を重ねて,新しい事業に成功した人でした。彼は成功をもたらしてくれたボルチモアへの感謝の気持ちを込めて,この図書館設立の資金を寄付しました。彼は図書館を作るにあたって,次のことを大事にしてほしいと訴えました。
「この図書館はすべての人に開かれている,貧し人にも,豊かな人にも。人種も肌の色も問われない」
この言葉は,この図書館の一番大事な決まりとなりました。この言葉に基づいて運営されているこの図書館は,貧しくて身よりのないマリーに,どれだけの幸せな時間を提供してくれたことでしょう。しかも,
この図書館には親切な司書さんもいました。毎日夜になると図書館にやってくる12歳の孤児に,読書の相談にのってくれる人がいたのです。実現しなかったとはいえ,マリーは自分の結婚式に,「イーノック・プラット図書館のその司書さん」を招待したかったのですから。
そんな司書さんがいたこの図書館は,マリーにとって,唯一の心休まる場所となりました。マリーは,その司書さんのアドバイスを受けながら,この図書館にある本をほとんど読みました。
『千の風になって』という歌が私たちに届くまでの話・第8話
●ボルチモアへ
細い糸でつながった街が,一つだけありました。ボルチモアです。マリーは,ジョンが亡くなる前に,何度かボルチモアの親戚の家をジョンと一緒に訪れたことがあったのです。「その親戚の家を頼ってボルチモアへ行こう」,マリーはそう考えました。
安い給料をやりくりして,やっと旅費と少しのお金をためることができたマリーは,ある朝,誰にも見送られることもなく,一人ぼっちでボルチモアを目指しました。12歳の時のことでした。
ボルチモアの遠い親戚の家にたどり着いたマリーでしたが,その家も貧しくしかもたくさんの子どもがいたので,一緒に住むことはできません。親戚の家の紹介でマリーは,出稼ぎにきている女性労働者のための下宿に住むことになりました。貧しい住まいだったことでしょう。しかし,大きな幸運がマリーを待っていました。下宿の前の道路の向かい側に,〈イーノック・プラット自由図書館〉という名前の市立図書館があったのです。
細い糸でつながった街が,一つだけありました。ボルチモアです。マリーは,ジョンが亡くなる前に,何度かボルチモアの親戚の家をジョンと一緒に訪れたことがあったのです。「その親戚の家を頼ってボルチモアへ行こう」,マリーはそう考えました。
安い給料をやりくりして,やっと旅費と少しのお金をためることができたマリーは,ある朝,誰にも見送られることもなく,一人ぼっちでボルチモアを目指しました。12歳の時のことでした。
ボルチモアの遠い親戚の家にたどり着いたマリーでしたが,その家も貧しくしかもたくさんの子どもがいたので,一緒に住むことはできません。親戚の家の紹介でマリーは,出稼ぎにきている女性労働者のための下宿に住むことになりました。貧しい住まいだったことでしょう。しかし,大きな幸運がマリーを待っていました。下宿の前の道路の向かい側に,〈イーノック・プラット自由図書館〉という名前の市立図書館があったのです。
『千の風になって』という歌が私たちに届くまでの話・第7話
●突然の不幸-ジョンの死-
しかし,そんなマリーを大きな不幸が襲いました。勉強を教えてくれていたジョンが,狩猟中に流れ弾に当たって,死んでしまったのです。もう誰からも,両親のことを聞けなくなってしまいました。マリーは,本当に一人ぼっちになってしまったのです。
そんなマリーを更なる不幸が襲います。日ごろから,マリーのことを嫌っていたメイが,マリーを一人残して,自分の実家に帰ってしまったのです。それまで住んでいた家も売られてしまい,住むところがなくなった10歳のマリーは,「家政婦」として3カ月ごとに家々を渡り歩く生活をすることになりました。朝から晩まで炊事・洗濯・掃除をし,食事は台所の隅で一人食べるという暮らしが続きました。
そんな生活が一年続いた後,ある大きな家で長期間働くことになりました。しかし,その家での扱いは,本当にひどかったようです。マリーは,その家から逃げ出すことを考え始めます。しかし,一人ぼっちのマリーに行くところがあったのでしょうか。
しかし,そんなマリーを大きな不幸が襲いました。勉強を教えてくれていたジョンが,狩猟中に流れ弾に当たって,死んでしまったのです。もう誰からも,両親のことを聞けなくなってしまいました。マリーは,本当に一人ぼっちになってしまったのです。
そんなマリーを更なる不幸が襲います。日ごろから,マリーのことを嫌っていたメイが,マリーを一人残して,自分の実家に帰ってしまったのです。それまで住んでいた家も売られてしまい,住むところがなくなった10歳のマリーは,「家政婦」として3カ月ごとに家々を渡り歩く生活をすることになりました。朝から晩まで炊事・洗濯・掃除をし,食事は台所の隅で一人食べるという暮らしが続きました。
そんな生活が一年続いた後,ある大きな家で長期間働くことになりました。しかし,その家での扱いは,本当にひどかったようです。マリーは,その家から逃げ出すことを考え始めます。しかし,一人ぼっちのマリーに行くところがあったのでしょうか。
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